好きな魚は?
と質問されることってよくありますよね(ない。)
おれはいつも秋刀魚!
って即答します。
黄色い唇がセクシーだし、ピンと立つほど鮮度のいい秋刀魚を手にしたときは勇者になった気分になれるので。
アメ横でガラガラ声のおっちゃん店員と口論になったのも秋刀魚がきっかけでした。
あれはもう12,3年前になるかな。
当時のおれはとにかく魚を捌きたくて捌きたくてうずうずしていました。
なんでハマったのかは忘れちゃいましたが、自分でアジとか鯛とか捌いて食べるのに夢中になっていたんです。
昼夜交代勤務をしていたので手当やら残業代やらで20代半ばにしては周りより数万円程度多く給料をもらっていたので、欲しいものをジャンジャン買ってました。
バイクの免許取ってバイクを買ったり、わけのわからないブランドの財布や洋服を買ってみたり、デートで有名飲食店を利用してみたり。
今思えば夢のような生活でした。
それが独身ってもんですね。
結婚した今、ロードバイク買うのにも半年以上かかったという…
(買えただけましかも)
そんな夢のような独身生活を送っているときに購入したが出刃包丁でした。
鯛を捌くにはうろこ取りと骨抜きも必要なのでそれもちゃんとした店でそれなりの値段のものを買いました。
で、近くのスーパーでアジを買って捌いてみたら、めっちゃ楽しかったんですね。
セイゴ?でしたっけ、アジ独特の。
あれを取りつつうまい具合に皮が引けたときはホントに気持ちよかったです。
次はもっとでかい魚を捌きたい!!
ってことで鯛に挑戦。
これはもう二度とやらないって誓いました。
まずうろこ取るのが超めんどくさい。取るのはまだいいとしてもあちこちに飛び散ったそれの掃除が半端じゃなくだるい。
あと骨も立派すぎ。
それと全体的にでかすぎ。一人じゃ食いきれない。命大切。
イワシは手開きってのが主流らしいのと、おれが手に入れた出刃で捌くには身が小さすぎるので手を出しませんでした。
そしてたどり着いたのが秋の味覚の王様である秋刀魚ちゃん。
今や高級魚の仲間入りをしてしまって手軽に買えなくなりましたが、十数年前はまだまだ80円とか90円で購入できました。
ネットで色々調べて、どうやら新鮮な秋刀魚は冒頭に書いた通り黄色い口で尾をもてばピーンと立つらしい。
早速近所のスーパーでアバンの使途のごとく秋刀魚を剣に見立てて尾をもってみました。
ふにゃーん。
なめてんのかってくらいふにゃふにゃな秋刀魚だったので、そいつをもとの発泡スチロールに戻しました(触ったんなら買えよ)
こりゃスーパーじゃ話にならん、ってことでバッタもんの聖地「アメ横」に出向いたわけです。
セーエン、セーエン、お兄さん、セーエンでいいよー!
アメ横ではマグロだろうが筋子だろうがシラスだろうがのりだろうがウニだろうが、とにかく何でもかんでもセーエンで買えます。
ボードに乱暴な字で「2000」って書いてあるのにセーエンなのは良心的でいいなーって感じますが、明らかに「500」って書いてあるにもかかわらずセーエンコールを連呼してるおっちゃんがたまにいるので注意が必要です。
その場合、大体必要数よりも多く袋詰めされてセーエン請求されます。
あまりにもセーエンの力が強すぎて、セーエン札を持ってないとアメ横に入れないとか(大嘘。そもそもなんだよセーエンって。千円だろ)
バッタもんとセーエンの聖地で秋刀魚を求め練り歩くおれに対し、いたるところからセーエンコールを浴びせてくるアメ横のおっちゃんたち。
おれはそんなおっちゃんたちの中の一人に声をかけてみました。
そのおっちゃんが立つ店先にはもちろん秋刀魚!
しかもひとかごセーエン!
んー、でもひとかごに15~20尾くらい乗ってるなー。
とても一人じゃ食いきれないし、そんなにたくさん捌くのだるいなー。
ってことでおっちゃんに相談しました。
ちなみにこのおっちゃんはおれが店に近づく前から声を張り上げていて、なかなか人のよさそうな表情をしていました。
ねー、おっちゃん、おれ一人暮らしでこんなに食べきれないからセーエンのままでいいから5尾売ってくれない?
こう話しかけると、それまで人のよさそうなおっちゃんの顔が豹変し、いかにも不機嫌
な口調でこう答えました。
スーパーでも行きな。
おいこら!
スーパーにはもう行ったんだっつーの!
食材無駄にしたくないから相談しただけなのになんて言いぐさだよ、このくそおっちゃん!
と、心の中で発狂しつつ、
ほ、ほかで買います。
と半べそかきながらその場を離れました。
fin.
(一体何の話?あまりにもタイトルと関係なさ過ぎて通報されそう)